地震は甚大な災害のひとつであり、瞬く間に都市全体を破壊することもできます。地震の規模によっては、建造物も計り知れないほどの被害を受けます。建物の基礎を設計する際に、技術者はこの点を念頭に置かなければならないのです。

地震が建物に及ぼす影響

地球を覆うプレートの存在自体は、よく知っている人も多いでしょう。また、プレートが地殻の動きに及ぼす影響についても聞いたことがあるかもしれません。プレートがずれたり、プレート同士がぶつかったりして強い力が働いたときに地震が起きます。地震の規模を測る単位はマグニチュードであり、地震が建物に及ぼす影響について理解することは、耐震性の高い建物を設計するには欠かせません。

免震構造──耐震性向上に欠かせない技術

耐震性の高い建物を作るうえできわめて重要な役割を担っている技術が、免震構造です。地震に見舞われた建物の損壊を防ぐ(または、せめて損壊を最小限にする)ことを目的として開発されました。免震構造は世界中で採用されていて、特にニュージーランド、インド、日本、イタリア、アメリカ合衆国で普及が進んでいます。

免震構造では多くの場合、何らかの形で建物を地面から離すことで、衝撃による影響を抑えています。建物を地面から離す手法としては、ボールベアリングやゴムパッドなどの免震装置(アイソレーター)を使うことが多いです。免震装置は地震の際、建物を動かそうとする力を軽減する緩衝材の役割を果たします。

日本の耐震技術の進化

日本は地震国であると言っても、大きな地震が起きてこなかった地域もあります。しかし、それでも最低限として、標準の70%以上の地震の強さに耐えられることが要求されています。このように、地震対策が日本の建設技術の根底にあり、流儀となっています。

日本の建設技術は優れています。それは、設計、施工全般に強度を確保するベースが浸透して、その上で耐震設計が進んでいるからです。日本では、過去の地震経験を未来に演繹するという方法で、地域によって、想定する地震の強さが異なることになります。

海外での日本の耐震技術の展開

海外では地震がないという国、地域があります。しかし、ほんとうに今後も起こらないのでしょうか。また、耐震基準がきめられている国は多いようですが、その基準にはどういう智恵が使われているのでしょうか。

日本人が海外で構造設計する場合には、地震がないと言われている地域でも、日本での最低限の地震対策を行うべきではないでしょうか。これは同時に、施工中の安全性や構造の健全性を確保することにもつながります。

まとめ

地震と建築の関係は、人間の生活と直結しています。地震による被害を最小限に抑えるためには、科学的な知識と技術が必要です。そして、その知識と技術を持つ日本の建設技術者は、世界の耐震建築の進化に大いに貢献できるでしょう。